こんにちは。南森町駅すぐにある伝統鍼灸一滴庵の院長です。
今回は、妊娠後期に逆子が判明した妊婦さんへの対応について、東洋医学的な視点からご紹介したいと思います。
ご相談に来られたのは40代の女性。それまでは不妊治療のサポートで来院されていましたが、無事に妊娠。32週まで通院し、早めの産休に入られたことで一旦通院は終了となっていました。
しかし、35週の健診で逆子と診断され、すぐに連絡をいただきました。
以前から「もし逆子になったらすぐに連絡してくださいね」とお伝えしていたこともあり、期間が限られていたため、帝王切開の予約もしつつ、2日に1回のペースで施術をスタートしました。
実は西洋医学的にはまだまだ逆子になる原因はわかっていません。骨盤の形や子宮の形状の問題や胎児の体位変換がしにくいお腹の張りなどは原因の一部ではありますし、28週までは基本的にクルクル動くのでほっておいてもいいとは言われます。当院でも28週までで逆子と言われても「ほっといたら治るから治療する必要はないよ。30週越えたらまた連絡くださいね」とお伝えしています。
東洋医学では逆子は母体の気逆によって引き起こされると言われています。特に多くは下半身が冷えて上半身が熱っぽくなる上熱下寒という状態ですね。
他にも下に不必要な物質(瘀血とか湿痰と呼ばれる邪気)があるため上の気が下に下がらないというケースもあります。
それぞれに合わせた治療法が必要にはなってきます。有名な至陰や三陰交のお灸は下の冷えを取るための治療ですね。
弁証:腎陽虚による下虚上実(下寒上熱)
初診~2診目は一般的に使う右至陰の灸と三陰交の灸を選択していました。3診目には右を背にしていたのが、左を背にしたような出っ張り感が出たのですが、患者さんはまだ下の方が蹴られる感じがするとのこと。
陽気は回復してきたので後は動きをつけるために子宮に関わる足のツボに1本鍼を追加。4診目からは上の方に足らしき反応があったのでおそらく戻ってきていると伝えながら念のため5診目の治療も継続。
「80%の確率で治ってます(笑)」とお伝えして、「100%じゃないんですね」とツッコミを受けながら
産婦人科でのエコーできちんと元に戻っているという連絡を受けたので治療終了。
35週でわりとギリギリでしたけれども、今まで治療していたこともあってか、「羊水の量もしっかりとあるので動きやすいよ」という産婦人科の先生の意見もあったので割と焦らずに治療できました。そういう意味でも不妊鍼灸は安定期を過ぎても継続されるほうがいいですね。
元々の腎の気が寒さによって一時的により弱くなる時期なのでしっかりと冷やさない工夫をしてくださいね。
次は元気な赤ちゃんを連れて挨拶に来ていただくことを心よりお待ちしております。
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