大阪市北区・南森町駅すぐにある伝統鍼灸 一滴庵の加堂です。
大寒も過ぎ、五運六気の運行も2026年の流れに入りました。
2024年にも解説しましたが、今回は、東洋医学の古典『黄帝内経・素問』の考え方をベースに、今年の気象傾向と体への影響を読み解いていきたいと思います。
2026年は丙午(ひのえうま)の年になります。
干支だけを見ると「火」のイメージが強いのですが、五運六気で見ると、今年の中運(歳運)は
水運太過(すいうんたいか)――
つまり「水の気が多くなりやすい年」となります。
「火の年なのに、水が強い?」と不思議に感じる方もおられるかもしれませんが、
十干十二支と五運六気は、そもそも別の理論体系です。
そこに“ズレ”が生じるのが、年運を読む面白さでもあります。
古典ではこのように述べられています。
「五運者,天地之中气也」
―『素問・天元紀大論篇』
五運とは、その年の“体と自然の土台になる気”のこと。
今年はこの土台に「水=寒・冷え・下に向かう力」が強く働きやすい、という年回りになります。
水運太過の年は、古典的には
「水有余,则寒气流行」
―『素問・気交変大論篇』
水が多いと、寒の気が広がりやすい――
つまり、全体的に冷えやすい年になりやすいと読みます。
そういえば、大寒前後から一気に冷え込み、大雪が降りましたね。
まさに「冷えの年」のスタートを象徴するような入り方だったように感じます。
2026年の上半期を支配する気(司天)は、少陰君火(しょういんくんか)です。
古典ではこう表現されています。
「少阴之上,热气治之」
―『素問・天元紀大論篇』
上にある気が少陰になる年は、熱の影響が表に出やすい。
そこに水運太過(冷え)が土台としてあるため、
今年の上半期は――
寒暖差が激しくなりやすい年と読むことができます。
特に小満(5/21)〜大暑(7/23)にかけては、
暑さが強く出る可能性があります。
大寒から春分にかけては、冷えを土台にした
・ぎっくり腰
・感冒・インフルエンザ傾向
春分以降は、客気が厥陰風木にあたるため、
司天の君火と合わさって上半身に熱が集まりやすい流れになります。
具体的には、
・花粉症
・アレルギー症状
・頭部ののぼせ
・冷えのぼせ
こうした「上が熱く、下が冷える」ような状態が出やすくなります。
下半期を支配する地の気(在泉)は、陽明燥金(ようめいそうきん)です。
「阳明之下,燥气治之」
―『素問・天元紀大論篇』
つまり、乾燥の影響が下半期から強く出やすい年になります。
特に
小雪(11/22)〜次の大寒にかけては、
冷えと乾燥が同時に強まりやすい時期になりそうです。
ただし、秋分(9/23)からの客気は少陽相火にあたるため、
残暑は長引く傾向も見られるかもしれません。
下半期は流れとして、
大暑〜秋分:胃腸系のトラブルが出やすい
秋分以降:呼吸器系・喉・皮膚の乾燥トラブルが出やすい
という読みになります。
五運六気は、単なる「占い」ではなく、
自然の変化と、人の体の反応の相関を観察し続けた体系です。
その根本には、次の有名な一節があります。
「圣人不治已病,治未病」
―『素問・四气调神大论篇』
病気になってから治すのではなく、
そうなりやすい流れを先に知り、整えておく。
今年が「冷え」「寒暖差」「乾燥」「のぼせ」といったキーワードを持つ年であれば、
それに対して、生活や体のケアをどう先回りするか。
そこに、この理論の本当の価値があります。
もちろん、これは古代中国の気候理論です。
現代の日本の気象に、すべてがそのまま当てはまるわけではありません。
ただ、毎年こうして観察を続けていると、
「意外と重なるな」と感じる場面が多いのも、正直なところです。
今年一年、冷えすぎていないか、乾きすぎていないか、上に熱がこもっていないか。
そんな視点で、ご自身の体を眺めてみるのも一つの養生かもしれません。